2019.11.20 知識
中性脂肪と薄毛の関係
現代人はどうしても運動不足になりがちで、飽食の時代も手伝って肥満になりやすい環境です。国もメタボ対策に力を入れていますから、職場の健康診断を受けるようにと背中を押されている方も多いのではないでしょうか?中高年の年齢以降になると、代謝が落ちる関係で太りやすくなりますが、健康診断で中性脂肪の値が高いと指摘された人は、薄毛にも影響が出る可能性があります。本章では中性脂肪と薄毛の関係について取り上げて解説していきますから、ぜひ参考になさってください。
中性脂肪ってそもそも何?
中性脂肪は余分なエネルギーとして血液中に貯まった脂肪分です。中性脂肪が増える要因としては、主には消費カロリーよりも摂取カロリーの方が多くなるカロリー過多、つまり食べ過ぎが原因となることが多いです。余ったエネルギーが血中に貯まると中性脂肪になりますが、内臓に貯まると内臓脂肪になります。肝臓に脂肪が溜まると脂肪肝となって生活習慣病の原因にもなります。
中性脂肪と似たものにコレステロールがありますが、両者は全く別物です。どちらも脂肪である点は同じですが、中性脂肪はエネルギー源になり、コレステロールはエネルギー源にはなりません。コレステロールは体内でホルモンを作る材料となったり、細胞膜を作る原料となります。例えば女性は更年期以降で女性ホルモンの生産量が低下すると、余ったコレステロールが血中にあふれて、コレステロール値が増加することがあります。コレステロールも、中性脂肪と同様に基準値を超えると薄毛に良くない影響が出る可能性があります。
中性脂肪やコレステロールの増加と薄毛の関係
中性脂肪もコレステロールも、増えすぎると血液をドロドロにするので、血液検査で基準値を超えていたら要注意です。血液がドロドロになり流動性を失うと、全身の血流が悪くなります。頭皮の毛細血管でも同様の状態となりますから、頭皮の血行不良を招き、毛根の栄養補給を妨げることになってしまいます。
頭皮の毛細血管はただでさえ細いので、血液が少し流動性を失っただけでも容易に血行不良に陥ります。この状態が長く続けば、栄養不足から髪の成長が滞り、抜け毛や薄毛につながる可能性が出てきます。
頭皮の血流改善だけではダメ
血液が流動性を失った状態では、頭皮の血行だけを考えても根本的な解決になりません。全身を巡る血液がドロドロなわけですから、市販の育毛剤などで頭皮だけの血行を促進したところでほとんど効果は望めないでしょう。もしAGAの治療で本格的な治療薬を使っていたとしても、健康状態が悪ければ治療の効率も悪くなります。
なにより、中性脂肪の増加は体全体にとって良くないことですから、育毛や発毛だけではなく、全身の健康維持のためにも中性脂肪を下げる努力が必要です。次の項では中性脂肪やコレステロールを下げる方法について見ていきます。
中性脂肪やコレステロールを減らすには?
中性脂肪を減らす方法はいくつかありますが、前述したようにその性質がエネルギー源であることに着目すると、「運動」が有効な手段であることが分かります。エネルギーが余っているわけですから、これを消費してやればいいということです。運動は筋トレのような無酸素運動よりも、ランニングやエアロバイクなどの有酸素運動の方が効率よく中性脂肪を減らせます。
それまで全く運動習慣が無い人は、一回30分程度の有酸素運動をできるだけ毎日行うようにします。毎日が無理でも週2日~3日程度行うようにすれば、中性脂肪を減らすことができるでしょう。運動だけでもすぐに効果が出ますが、できれば食事の節制も並行するとより効率が上がります。一日の必要カロリーを超えないようにカロリーコントロールをすることと、できるだけ脂っこい食事を避けるようにします。
特に動物性の脂肪が良くないので、お肉の脂身などは意識して取り除くようにしましょう。ちなみに、コレステロールも同じ脂肪分だとお話しましたが、こちらはエネルギー源とはならないため、運動してもなかなか低下につながりません。コレステロールのうち悪玉と言われるLDLコレステロールも血液をドロドロにしますから、値が高ければ低下させたいところです。
LDLコレステロールを低下させるには、できるだけ動物性の油やスナック菓子などに含まれる悪い油脂分を取らないことが有効とされています。食事のコントロールは中性脂肪とコレステロールの両方の対策になりますから、毎日の食事を見直して健康的な食生活を目指すように努力していきましょう。
髪のためにも運動と食事でメタボ予防を心がけよう
本章では中性脂肪と薄毛の関係について色々と見てきました。健康に悪いというイメージは皆さんも持っていたと思いますが、中性脂肪が増加すると血液がドロドロになって血流が悪くなるため、育毛環境としても良くありません。健康診断で中性脂肪の値が高いことが分かったら、運動と食事の管理で適正値になるように努力することが肝要です。
当院でも患者さんの健康状態を把握して薄毛治療を進めていきますから、検査で気になる値が出ている方は一度当院にご相談ください。