コラム

2019.11.9 ヘアケア

髪の毛のセットがうまくいかないのは薄毛の前兆？

ヘアセットが難しくなるのは髪の軟毛化が原因

いつもと同じ髪型なのに、セットに時間がかかるようになってきたと感じた場合、本人も気づかないうちに髪の軟毛化が進んでいる可能性を示唆しています。軟毛化とは、本来あるべき健康な毛髪と比べてハリやコシがなくなり、細く柔らかい髪に変化することをいいます。

髪質には個人差がありますから、生まれながらにして髪が細く柔らかい人もいます。このような人は体質ですから問題ないのですが、元々は弾力があり太い髪だったのに、何らかの原因で髪の健康が失われ、細く弱ってしまうことを髪の軟毛化といいます。髪が細くなり弾力が無くなるので、ボリュームが出ない、セットが上手く固定しないなど、日常のヘアセットで異変を感じることになります。

軟毛化は何年もかけて徐々に進む

髪の軟毛化は、数年、数十年かけて徐々に進むため、本人も気づかないうちに少しずつ進行します。軟毛化が始まっても、初期のうちは本人も全く気づくことはできないでしょう。人の毛髪の成長はヘアサイクルによって維持されており、通常は3年から7年程度の成長期の間に太く強く成長し、その後は自然な脱毛へと向かいます。自然脱毛後は、また新しい髪が生えてくるというサイクルを繰り返しているのですが、髪の成長期が何らかの理由で縮まってしまうと、髪は通常通り成長することができなくなります。

その結果、髪は細くなり、弾力を失ってボリュームもなくなります。いつものようにセットしているつもりでも、髪が軟毛化しているせいで思い通りのセットができなくなったり、以前よりも時間がかかるようになります。ではヘアサイクルの成長期がなぜ縮まってしまうのでしょうか。成長期の減縮は、ほとんどの場合体内のホルモンの影響によることが多いので、この点を次の項で見ていきます。

軟毛化の原因は体内ホルモン「DHT」

男性でも女性でも、髪の軟毛化の大きな原因は体内のホルモンです。男性の場合、元々テストステロンという男性ホルモンが多く分泌されていますが、これが加齢によってジヒドロテストステロン（DHT）という活性度の強い別のホルモンに変化するようになります。DHTは毛根に脱毛シグナルを発することで、髪の成長期を極端に縮めてしまう作用があります。

DHTは思春期以降徐々に増えてくるため、加齢に伴って髪の軟毛化が進み、薄毛を進行させていくことになります。女性の場合は元々女性ホルモンの量が多いので、男性よりもDHTの影響は少なくなります。ただし女性ホルモンの分泌量が減る更年期以降、あるいは若い女性でもストレスの影響や悪い生活習慣の影響でホルモンバランスが崩れると、女性ホルモンの分泌量が減少することがあります。

このような契機に男性ホルモンの影響力が増し、DHTの作用が強く出てヘアサイクルが乱れ、軟毛化が進みます。男性は主に生え際や前頭部、あるいは頭頂部などから軟毛化が進みますが、女性は頭髪全体で軟毛化が進む点で進行過程の特徴に違いが出ます。どちらにしても、男女問わずヘアセットが難しくなるのは、DHTの影響で髪の軟毛化が起きるという要因が大きいと考えられます。

AGAによる軟毛化

AGAは適切な治療をしなければ進行を止めることはできません。薄毛の治療は早く始めるほど治療効率が良く、逆に治療開始が遅れるほど改善効率が悪くなります。地肌が見えるくらいにまで進行すると、十分な毛量の回復までに期間を要しますが、軟毛化が見られた時点ですぐに治療を開始すれば、地肌の露出を感じる前に以前のような弾力のある強い髪を取り戻すことが十分可能です。ヘアセット時に違和感を感じたら、早めに医師に相談すると後々後悔せずに済みます。

軟毛化は薄毛の前兆！早めの対処をお勧めします

本章では、毎日のヘアセットがうまくいかなくなるという事象を捉えて、その原因である軟毛化の仕組みを詳しく見てきました。軟毛化は男性のAGA、女性のFAGAとして発現する現象ですので、この機会を逃さずにぜひ薄毛対策を初めてもらいたいと思います。当院では患者様の性別や年齢、薄毛の態様などから、最も有効な治療法を選択できるようにしています。早めに治療を行うことで、生活の質を落とさずに張りのある人生を楽しむことができます。「髪のセットが難しくなったな」と感じたら、早めに当院にご相談ください。