2019.9.15 知識
【薄毛対策の迷信】間違った対策方法に要注意
薄毛の予防法や対策法については昔から色々と言われてきましたが、中には真偽が不確かなものや正しくない情報もあります。薄毛対策としてあまり意味が無いものもあれば、逆に悪影響を及ぼす危険があるものまで、色々と混在しているのが実情です。
本章では、世間でささやかれる薄毛に関する情報の中から、実際には間違っているものを取り上げてお伝えしますので、ご自身で信じてしまっている情報がないか確認してください。
抜け毛対策としてシャンプーを控える
「シャンプーをすると髪の毛が抜けてしまうから」という理由で洗髪を控えめにしている人がいまだにいるようです。今から数十年以上も前くらいの相当昔、まだ医療による薄毛治療が世に登場していなかった頃は、中高年層でこのような洗髪を控える習慣を持つ人も結構いました。近年は情報の流通が盛んになったため国民のリテラシーは高まりましたが、現実の洗髪の場面で抜けが多量に出ると、尻込みしてしまって洗髪を控えめにしてしまう人もいるかもしれません。
人は健康な状態でもヘアサイクルに従って一日100本程度の抜け毛が出ますが、これは正常の範囲です。これを超えるような病的な抜け毛を自覚しているのであれば、洗髪を我慢するのではなく、医療機関で治療を受けるべきです。仮に洗髪を我慢してその日は抜け毛が抑えられたとしても、次回の洗髪時にまとめて抜けるだけですから、薄毛対策としては全く意味がありません。むしろ、不衛生から来る頭皮環境の悪化で薄毛につながりやすくなります。
育毛シャンプーで発毛を期待する
以前薄毛で悩んでいたタレントの方が、有名な育毛シャンプーの生産者とタッグを組んでCMを提供したため、育毛シャンプーで髪が生えたような印象を受けた人も多いかもしれません。実際はそのタレントさんは育毛シャンプーと同時にAGAの治療を受けていたとされますから、毛量が増えたのは治療のおかげであることが推認されます。
確かに育毛シャンプーは頭皮環境を整えて育毛しやすい状態に導いてくれる期待は持てます。育毛剤に含まれる成分を含有するものも多いので、まるで育毛剤のように考えてしまうのも無理はないかもしれません。しかしシャンプーは基本的に洗い流すものですから、育毛剤のような効果は期待できません。
ミノキシジルやフィナステリドなど、効果の強い治療薬成分を使用しなければ、見た目の毛量を回復させる「発毛」は非常に難しいです。育毛シャンプー単体では頭皮の環境を整えるという、至極マイルドな作用しか期待できないのです。積極的な発毛を目指すには医学的な薄毛治療を併用する必要があります。
白髪が多ければ薄毛対策は必要ない
一昔前は、白髪になる人は薄毛の心配をしなくて良いとか、逆に薄毛になる人は白髪にならないという俗説が通っていました。なぜこのような説が通っていたのか定かではありませんが、現在は薄毛と白髪には直接的な関係はないとされています。ですから薄毛の人でも白髪が多い人がいますし、白髪が多い人でも薄毛になり得ます。
男性の薄毛の多くはAGAによるものですが、これは体内の男性ホルモンが変化して、薄毛を引き起こすジヒドロテストステロン(DHT)に変化するためです。加齢と共にDHTの量が増えるので、薄毛は徐々に進行していきます。一方白髪の発生は色素を作る機能が損なわれるためです。黒髪の黒い色はメラニンですが、これはメラノサイトという色素を作る細胞が作り出します。通常は髪が伸びる過程でメラニンを取り込みながら成長していきますが、メラノサイトの機能が弱まるとメラニン色素が作られず、黒色を取りこめないまま白い髪が成長していくことになります。
メラノサイトの機能低下がなぜ起きるのはまだ完全に解明されていませんが、少なくともAGAによる薄毛の原因とは関係はありません。薄毛になるかそれとも白髪になるかという、二者択一の関係にはないということですから、白髪が多い体質の人も薄毛になりたくないのであれば予防に取り組む必要があります。
髪に良い栄養をたくさん摂れば髪が生える
これは考え方の間違いと言えるものですが、髪に良いと言われる栄養成分をたくさん摂ればそれだけ薄毛を防げる、あるいは改善できるというのは間違ってはいませんが正確ではありません。例えば、髪の発育の際に必要になる亜鉛や、髪の毛の元になるタンパク質(アミノ酸)など、一般的に薄毛対策として推奨される栄養成分があります。これらの栄養は確かに不足することで薄毛の原因になります。
タンパク質が不足すれば健康な髪が作られませんし、亜鉛が足りないと髪が正常に発育できなくなります。しかし、栄養成分をしっかり摂ったとしてもそれに比例して育毛・発毛効果が発揮されるわけではありません。
AGAの原因は男性ホルモンによる影響が主な原因となりますので、栄養成分とは別のアプローチをしていかなければ根本の解決にはならないのです。
薄毛対策には正しい知識が必要
本章では薄毛対策として間違っているものを取り上げてお伝えしてきました。情報の多様化が進んだ現代では正しい情報だけでなく、間違った情報を掴んでしまう可能性もあります。当院では、医学的な知識を基に患者さんに正しいアドバイスを提供しております。薄毛で悩む前に、ぜひ早めにご相談頂ければ幸いです。