コラム

2019.9.11 知識

円形脱毛症の特徴、種類、対策方法について

円形脱毛症の特徴

数年から数十年かけて徐々に進むAGAと違って、円形脱毛症の症状は進行スピードが非常に速いのが特徴です。また毛髪が抜けて地肌が露出する部位と、周囲の毛髪が残る部分との境目がはっきりするため、コントラストが強く出るのも特徴です。そのため、見た目に自分自身がストレスを感じることはもちろん、周囲からの反応も気になることから余計にストレスが増長されてしまうこともあります。

円形脱毛症の種類

一口に円形脱毛症といっても、実際には以下のような種類があります。

①　単発型

頭部のどこかに一か所、円形上の脱毛が起きて地肌が露出します。大きさはケースバイケースで、10円玉くらいの大きさのものもあればそれより大きくなることもあります。

②　多発型

単発型の脱毛が二か所以上で併発するタイプです。

③　蛇行型

脱毛し地肌が露出している部位が、まるで蛇が這ったような跡にみえるものを蛇行型と呼びます。

④　全頭型

頭髪全体が脱毛し、地肌が綺麗に露出するようなタイプを全頭型と呼びます。このタイプは完治が大変難しくなります。

⑤　汎発型（ばんぱつがた）

脱毛が頭髪に限局せず、まつ毛やその他の体毛にまで脱毛作用が及ぶものを汎発型（ばんぱつがた）と呼びます。このタイプも治療が非常に難しいことが多いです。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因は今のところはっきりと解明されていませんが、現在主流になっているのは自己免疫機能の異常が関係するという説です。本来は問題のない毛髪を作る細胞が自己免疫から攻撃を受け、そのために脱毛が起こるのではないか、というのが有力な説となっています。

他にも、ストレスやアトピー体質、遺伝などによって起こりうるという説もあります。現状では、主原因となっているのが自己免疫機能の異常であり、ストレスや遺伝、アトピー体質などがこれを補強する形で症状を憎悪させるのではないかと考えられています。

円形脱毛症の対策方法

円形脱毛症を発症した場合、自分でできることは多くありません。もし生活習慣に見直すべき点があればこれを改善し、バランスの良い食事と十分な睡眠、適度な運動を心がけることが推奨されます。しかし不摂生を直しても円形脱毛症が治癒することはまず期待できません。

単発型であればケースによっては自然に症状が消失することもありますが、必ずではありません。多発型以上の強い症状になると自然治癒は望めないので、医師による治療が必要になります。

病院ではどのように治療する？

円形脱毛症は治療が難しいため、医師の治療をお勧めいたします。治療方法はいくつかあるので、どの治療法が有効か医師が判断してくれます。病院での円形脱毛症の治療では以下のような方法が検討されます。

①　ステロイド注射

炎症を抑えたり、免疫機能を抑制する作用のあるステロイドを脱毛部位に注射するものです。大量のステロイドを長期間にわたって投与すると、皮膚の形成異常など負の作用が見られることもあるので、治療期間や対象となる患者さんの年齢などを医師が個別に考慮します。

②　局所免疫療法

科学的に皮膚にかぶれを生じさせる薬品を使って、脱毛部位に刺激を与えます。一種のショック療法のようですが、あえてかぶれを生じさせることで免疫機能を正常に戻す効果が期待できます。

③　冷却療法

ドライアイスや液体窒素などを使用して患部に冷却刺激を与えます。冷却刺激も免疫機能にショックを与えて正常な状態に戻す作用が期待できます。

④　ミノキシジルの塗布

AGAにも使用されるミノキシジルは頭皮の毛細血管を強力に拡張して血流を確保し、毛根に栄養を届けてくれます。毛根さえ残っていれば、適切に治療することで髪の毛を成長させることができます。

⑤　塩化カルプロニウムの塗布

昔から円形脱毛症の治療に使用されてきた塩化カルプロニウムも発毛作用を期待して使用されることがあります。

⑥　内服薬治療

症状の重さなどを考慮しながら、内服薬が投与されることもあります。ステロイド剤の他、抗アレルギー剤などが検討されます。

円形脱毛症は医師による治療がお勧めです

ごく軽症の単発型を除いて、自己対処による方法では円形脱毛症に効果的に対処することはできません。ケースによってかなり幅が出ますが、円形脱毛症の治療には数か月から数年のスパンが必要になることが多いので、根気強く治療を進めるスタンスが求められます。

頭髪治療を多く手掛ける医師であれば、ケースごとに症状や患者さんの状態を見て最も有効な治療の選択肢を示すことが可能です。円形脱毛症でお悩みの方はお気軽にご相談ください。